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2016年9月19日月曜日

みそろぎ夜話⑭

郷土人形は庶民が一般の暮らしになじんだものでした。現代の私たちが見ている
愛らしい色や形は長年の変遷を経て練りに練られたものだと思います。量産の土産物の制作発注が中国や海外に流れていく状況で、地域の素朴な素材、一筆の勢い、遊び心は他に変えられないものだと思います。型から作る人形ですが、どれも一点ものに値する魅力があります。

・太田幹子さん(髙松宮内張子)

昨年のMISOROGI人形展のメインビジュアルとなった「奉公さん」、会場で大人気となりました。髙松に伝わるこの張り子人形の愛らしさは、災厄を担い平癒を祈る無私の心に由来するのではないかと思います。本年は、他の人形もいろいろ展示しています。御殿狆のまん丸の目、福助さんのおめでたい顔を見ると、郷土玩具は日本のポップ元祖といってもいいかもしれませんね。






・永田禮三さん(木の葉猿)
日本のアニミズムを感じさせる郷土人形といえば、まず熊本の木の葉猿を思い出します。1200年あまりの伝統をもつ素焼きの猿。白、赤、青の色づけも鮮やかでインパクトがあり、団子猿などは現代美術として展示されても分からないのではないかと思います。先祖伝来の技法を守る永田家による制作で災難除け・子孫繁栄のお守りに使われてます。