2019年のMISOROGI人形展に初出品し、今年も出品予定だったロシアのヴェラ=ザイさんが、8月16日にコロナ感染が原因で亡くなられました。まだ33才の若さでした。
今年の出品はいち早く出品申込みを済ませ、出品作もほぼ仕上がっていたそうです。
愛らしい美しい、そして装飾に工夫をこらした人形を、本当に丁寧に作る方でした。2019年のMISOROGIではDMにも画像を使わせていただき、今年もどんな作品が送られてくるのか楽しみにしていました。
19年に出品した作品「12月の物語」「マリー(くるみ割人形から)」は18年のモスクワで開催されたArt of Dollのコンテストに出品したもので、審査員の羽関が賞を授与させて頂きました。MISOROGI人形展への出品を促すと、その受賞作と、新作の「林檎の木の精」を送ってきました。
粘土で作った作品は習作で、これからは木を素材として作家としての制作に取り組みたいと「林檎の木の精」はスケッチの段階から羽関と何度も打ち合わせをして仕上げました。非常に細い木の枝に関節を仕込んだ繊細な作品で、梱包のための手作りのパッキング材や気配りにも感服したものです。
木彫でいろいろなアイディアがあると書いていましたが、まだ小さな二人のお子さんの子育てを優先したのか、作家としての宣伝は頻繁ではなく作品も寡作でした。
MISOROGI人形展に出品したことは本人にとって励みだったようです。はからずもヴェラさんの代表作は日本に収まることになりました。その素晴らしい人形達をいつまでも記憶にとどめていたいと思います。
ヴェラさんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
ヴェラ=ザイさんのInstagram
12月の物語
マリー(くるみ割り人形から)
林檎の木の精