今まで制作数も少ない新人ですが、そうは思えない技術と表現力を持っています。
大学の卒業制作で人形に取り組み、異なる人形作家に師事しながら確実にステップアップ。
昨年のモスクワのART OF DOLLでDOLL OF THE YEARと、本展主催の羽関チエコ賞を受賞しての今回の展示となりました。
出品作品は3点。ひとつずつご紹介していきます。
「12月の物語」
「森は生きている」というタイトルでも知られているお話をテーマにした人形です。
我が儘な王女の願いを叶えるために、継母の言いつけで春にしか採れないマツユキ草(スノードロップ)を得るために冬の吹雪のなかをさまよいます。いつも森のなかでこの娘を見守る12月の精霊達に出会い、奇跡がおこるお話です。
ヴェラ=ザイは、雪のなかを歩く純粋無垢な幼い娘とソリ、そしてそれぞれ異なる表情をもった小さな人形が12月の精として籠のなかに入っています。
「12月の物語」23cm 石塑粘土、布(クロスボディ)
エプロンにはスノードロップを描いた刺繍が施してあります。
手編みのニットには、雪を模したビーズが縫い付けられます。
冬の厳しい寒さが感じられます。
娘を助ける12の月の精達も、それぞれに個性があって楽しいです。
この作品を包装するために特別な袋も作り、制作証明書もついています。
この作品は、ロシアの人形作家のオクサナ・ムラトヴァに技術の指導を受けて制作をしたそうで、このことは制作証明書にも明記しています。(ムラトヴァの作風はヴェラ=ザイとはかなり異なり、本人ならではの表情や工夫があります。)ムラトヴァに師事して制作した作品はこの1点だけです。
習作とはいえない完成度なのですが、 その理由からか謙虚な価格設定になっています。
どの人形にもいえることですが、このヴェラ=ザイの日本初上陸の記念的人形、本当に大切にしてくださる方にいつまでも愛でて頂きたいと思っています。